日記

■2017年10月19日(Thu)01:15  ディレイコレクター引退記念レビュー
■これまで・・・

ディレイペダルには愛着とこだわりを持って接してきたけど
いくつか売っぱらうことにしたので購入・ガチでプレイした経験があるものを
供養も込めてレビューし、ディレイオタク返上をキメようと持ってうっかり書いた。


■岸田さんのディレイレビュー

■点数のルール

主に使いやすさ(操作性・直感的なわかりやすさ)
  サウンド(音色の個性と使える場面の多さ)
  機能(どれだけのことができるか。実践的に使いづらいものは除く)
  価格・サイズ(安く小さいほど良い)
  信頼性(故障時の代替しやすさ。球数の豊富さ)

で評価します。
総合点は平均点。
平均が高いからと言って良いとは限りませんが”採用しやすさ”の目安にはなるかと。
気合の入った方はサウンドだけをみると良いと思います。


【デジタルディレイ】

■Strymon DIG (\37800 size 102*117*67)

所有機種がこちらなので。Timelineでも傾向は近い。
メーカー特有なのか”抜けないディレイ”音が特徴。
高解像度で聞こえさせる感じで、地味にディレイの音色自体は重めに思える。
とはいえ暗いわけではなくちゃんと明るい。ロー出てるのかな?
総じて明るく美しい奥行きを演出する良いディレイ。
他の高解像度系ディレイより断然ハイが出ないし音も少し細いんだけど
ディレイとしてはむしろ上を行くため狙ってそうしてある感じ。音色作りが上手く行っている。
アンビエント的に音をつなげるように作るディレイには個性があり、
現状その目的でかつローファイを狙わない場合Strymonが最もいい。
メーカーイメージ的に機能が先にくるが、実は個性の方が優れている気がする。
機能だけなら他にも良いメーカーはあるが、この綺麗なアンビエント音の深みは
現状Strymonが最も優れている一つだろうと言い切れる。
うちにある機種はDIGだがTimelineでも近い評価になるだろう。
DIGはDIGで面白みがあるけどTimeline買っちゃおうかと思うくらいは興味がある。

結果手持ちの今時ディレイではNo1の位置にきた。
多分ライバルはEventideだがあれを俺が持ってないので比較不可能。

・使いやすさ 7/10
・サウンド  9/10
・機能    7/10
・価格サイズ 5/10
・信頼性   8/10

総合点・・・7.2/10
総評・・・比較する前より評価を上げた一台。見た目のイメージよりずっと音楽的なディレイ。

■KORG SDD-3000Pedal (ディスコン size 260*170*77←ヤバい)

まず歪む。他のディレイより圧倒的に毛羽立った攻撃的なトーン。
原音もディレイ音も一緒くたに歪む独自性がある。
アタック音が目立つため付点8分などでは無類の強さがある。
これでしか出せない音が確かにあり、基本クオリティも悪くない。
リズムが過剰なまでに立つので、逆に沈ませたい時は辛いかもしれないが
そこは別の機種でフォローすればいいので問題ではない。
何と言ってもディレイを軸とするフレーズ作りではおそらく最強だろう。
またプリアンプとしても使用でき、ローはないけどアタッキーで割とかっこいい。
総じてkorgらしさがすごく詰まった一台と言える。
流石Korgは日本の誇り。良いメーカーだと思う。
減点ポイントはサイズと操作性。普通にどっちも最低最悪。
使うだけで苦行を約束してくれる。これだからKorgはダメなのだ。

追記・改めて弾いてると操作性はやっぱりイマイチだがまあつまみが多いのでマシな気がしたし
音はやっぱり良いので少し評価を上げる。

・使いやすさ 5/10
・サウンド  9/10
・機能    9/10
・価格サイズ 0/10
・信頼性   4/10

総合点・・・5.4/10
総評・・・高機能だが特徴がトガりまくった一芸ディレイ。そのくせ無駄にクソデカイ。小さければなあ・・・。

■Empress SuperDelay (\69120 size 95*144*50)

前に張り付くような高解像度ディレイ。
高機能でいろんなディレイが出るがフィルターかけても前に張り付くほどの半端ない抜け。
サイズも大きく値段も高い割に何に使ってもイマイチピンとこない。
10年位前は高機能なディレイではっきり高音質なのが珍しかったのはあるんだが
今となっては・・・な悲しみを感じる。
ディレイというにはマジでか?って感じの原音に近い音が帰ってくるため
よく言えばナチュラル、悪く言えば音色作りがなされてない。
これに使い所を見出してる人がいるとしたら俺は驚くが、あるのかもしれない。
間違いなく個性的ではあるが使いどころがいまいち見出せなかった。
この個性の使いどころが見つかればサウンドの評価もぐっと上がっていくと思うんだが・・・。

”普通のディレイ”としてはStrymonとかと正面から殴り合ったら憤死すること請け合いなので
あくまで普通に使いやすいディレイ目的なら他に入れ替えましょう。
TCより上を求めてこれを買った人・・・?多分来月にはTCが元気に走り回ってると思います。
なお、俺の所有品はシリアル229なので後で改善されてるかもしれない。
・・・されてて欲しい。

・使いやすさ 6/10
・サウンド  3/10
・機能    8/10
・価格サイズ 2/10
・信頼性   6/10

総合点・・・5/10(原音と同じ音が帰ってきてほしいなら上がるかも)
総評・・・現状採用する理由はないと思うけど強いて言えば一番ディレイ音が原音と似てる。

■TC FlashbackDelay (\19980 mini \11664 size 72*122*50 mini 48*93*48)

圧倒的なブランド説得力。レキシコンとTCはやっぱすごいね。そこらへん。
地味になんかこの2つのメーカーだけが持つ世界観みたいなのがあって
他社ではなかなか真似できない。

このペダルに関しても同じで音色に説得力がある。
初心者からプロまで誰が使ってもその人の技量相応の良いディレイが約束されている。
クオリティでいえば高解像でもハイファイでもないが、ハイファイ感のようなものはある。
安くて小さくて高機能で音も良いとなればやはり定番になるのも納得の名機。
特に付点8分や3連ディレイには強く、その独自の演出されたわざとらしいキラキラディレイで
簡単に空間系うまく使いこなせてる!みたいに聞かせてくれるのが嬉しい。文句なし。
操作面ではミニだとつまみが一つ少なくモード切替にPC必須でちょっとめんどくさい。
大きいのはエクスプレッションペダルっぽく動くスイッチつき。
ただクオリティが図抜けて高いわけじゃないので過信してなんでも・・・といけないのだけが欠点。
総合力は高いけどスペック面ではやはり高額機種に譲る面も多い。
価格とサイズを考えるとそれでも驚異的ですけどね!
DD-7がレンジ的にライバルだろうが圧倒していると言わざるを得ない。

・使いやすさ 8/10
・サウンド  9/10
・機能    8/10
・価格サイズ 8/10
・信頼性   7/10

総合点・・・8/10
総評・・・圧巻のコスパ、持てる役割の広さ。万人にお勧め出来る一台。時代の進歩を感じる。

■Providence ChronoDelay (\34560 size 101*122*58)

国産のハイエンドディレイとしてそこそこ有名。
出来ることが敢えて絞られており操作性はデジタルディレイでも屈指のよさ。
そうだよね、ディレイなんて基本使い方普通じゃないことのほうが珍しいもんな・・・。
トーンも中庸で、特に個性的でもなく、クリアめだけどクリアすぎず・・・。
質もすげえ高いってわけじゃないけどそこそこ。
ジャンルもそれなりに対応し、何かに特化することもなく、ソツなくこなす。
トーンフィルターがついており、開けばBOSSのように、閉じればエコー的な使い方が可能。
このトーンフィルター、デジタル制御でプリセットできりゃあと少し良くなる気がする。

つまり、良いんだけどなんか記憶に残らないディレイ。
THE国産。国産品の悪いところと良いところがともに顕著に感じられる一台。
買ってみたら使えるディレイなんだけど、買う理由がない事でそもそも採用されないという
悲劇的なディレイ。あえて選ぶなら操作性こそが買う理由となる。

・使いやすさ 9/10
・サウンド  7/10
・機能    4/10
・価格サイズ 5/10
・信頼性   7/10

総合点・・・6.4/10
総評・・・操作がめんどくさい人にはいいかも。素早く音決めできる。音に決め手はなし。

■Boss DD-7 (\18900 size BOSS)

ど定番。わざわざ説明が要らないコンパクトディレイの雄・・・なんですが。
まあここに上がってるハイエンド勢や新機種勢には全く太刀打ち不可能。
TCとかStrymonとは比較にもならないレベル。古い。音が古いんだよ!
悪い意味で昔のディレイ。アナログ勢がいなければもしかしたらそこが良いんだ!という
使い道もあったかもしれないが、地味にくっきりしておりそういう感情論も微妙。
現代となっては操作性と堅牢性と入手性などのインフラ面くらいでしか褒められない。
しかしBossの技術力を持ってすれば全然いけると思うので後継機期待しています。
DD-500とかいう正直頭をひねるようなアレなディレイじゃなくてな!
Boss筐体で!TCに並ぶ!完成度が高い定番ディレイを!ぜひ!

多分だけどドライ音が曇っちゃうのがダメな理由だと思うんだよなー・・・。
ミックス部分の回路やバッファーの高音質化を行うだけで
ディレイ音はそのままでも今に通用する音しそうなんだが・・・。

・使いやすさ 7/10
・サウンド  4/10
・機能    7/10
・価格サイズ 7/10
・信頼性   10/10

総合点・・・7/10
総評・・・それでもトラブルには凄く強いので点が伸びるとこが流石にすごい機種。

■Caroline Kilobyte (\29700 size 不明だけど82*111*44くらい)

デジタルディレイだが実質担う役割はアナログディレイ。
濃く深い歪んだローファイなディレイ音という、テープエコー的ニュアンスを持つ。
正しく比較する場合はこれ以後出てくるアナログ勢との決戦となるが、
正直デジタルディレイのくせにアナログディレイよりアナログらしく、音がいい。
人為的にこうしたい!というビルダーの感性のおかげでバランス良くまとまっている。
さらにスイッチを踏むと即座に発振し始めるので使い方も色々ある。
エコー的に、飛び道具的に、メインにサブに色んな役割が与えられる。
ディレイにこだわりがある方は是非一度試して欲しい。
基本的には発振がカッコよくサブカルバンド向け飛び道具と見られがちだが
リードギターのエコーでもこの分野最強の一角であるMaxonに殴りかかって
ジャンルによってはそのまま殴り倒す強さを見せる。
強いて言えば綺麗系だけはどう転んでも無理だけどLo-fiって筐体に書いてあるディレイに
綺麗な音がでないって文句言う人はいないだろう・・・。

・使いやすさ 9/10
・サウンド  9/10
・機能    7/10
・価格サイズ 6/10
・信頼性   5/10

総合点・・・7.2/10
総評:一定の割り切りが必要だがLo-Fi狙いなら10点。無敵の歪みディレイ。

■Diamond Quantum leap (\40000くらい? sizeはchronodelay横置きくらい)

アナログにこだわってたメーカーが出す多機能デジタルディレイ。
そのおかげが深く濃い音色なんだけど全くアナログではないという不思議な一台。
ディレイに止まらずコーラスやフランジャーにもなる。
ディレイだけで見ても相当に音がよく、デジタルになったことで重すぎない分
とっても使いやすい音色に仕上がった。すごくいい。
結果的に案外Strymonに似てるような気がしないでもない。しかも小さい。
正直Strymonよりさらに深く濃い。実は名機なのではないかと思うほど。

これだけ褒めちぎるには訳がある。それを覆す欠点があるのだ。
操作性が、とにかく、最低最悪の極み。全く直感的ではなく何がどうなってるのか
マニュアルを読まずに理解することは絶対に不可能なほど酷い。
間違いなくプロ含む採用例が少ない理由はそこにある。
音だけで言えばここに上がってるディレイの中でも屈指のサウンドなのだが
いかんせん操作性の面で大きな減点を食らっている。
気合があれば是非採用してみても良いのではないだろうか。俺は止める。

・使いやすさ 2/10
・サウンド  9/10
・機能    9/10
・価格サイズ 5/10
・信頼性   5/10

総合点・・・6/10
総評・・・音は個性的でカッコイイが今が何モードなのか超分かりづらい上に無駄な機能が多い。

【アナログディレイ】

■MaxsonADシリーズ(Ibanezも含め様々あるが安め・小さめ。でかいのもある)

AD900とAD102つ持ってて分けようかと思ったけどめんどくさいので。
基本的には同じ傾向。どちらもアナログディレイの中では綺麗系。
濡れたようなディレイ音というか、ウェットめにかけたときすごく個性がある。
多分、アナログにしてはローが軽めでかなりレンジが狭い音色が深くかける事を可能としている。
その特徴を生かしてリードギター時のエコーとしては相当な強さを誇る。
ローファイすぎず、ハイファイすぎず、定番の説得力がちゃんとある。
リードギターに深くディレイをかけたときの音を想像していただければ
その音ど真ん中の音が出てくる。何故かあのウェット感はこれが一番強く出せる。
おそらくミッドにディレイ音が集中して原音と一緒くたに出てくるせいだろう。
アルペジオなんかでもそのウェットな設定への強さを生かして独特の音がする傾向がある。

ディレイといえばリードギターにかける以外使わないぜ!って人は一発で、
それ以外のディレイを使う人も2台目としてエコー風目的に入れても良いんじゃないでしょうか。
リードギタリストなら検討する価値があるというか、試した方がいい機種。
ハードロックやメタルでは特に強い気がする。

・使いやすさ 9/10
・サウンド  8/10
・機能    3/10
・価格サイズ 9/10
・信頼性   7/10

総合点・・・7.2/10
総評・・・役割は狭いが小型低価格で確かな実力。何より採用しやすさがある名機。

■Boss DM-2W (\17604 size boss)

購入はしなかったけど上記Maxon購入時にガチで比較。
これも近い傾向だが、Maxonより音自体はクリアではっきりしている気がする。
普通にすごく良いアナログディレイで完成度も高いのだが
アナログディレイに求める一芸という点でMaxonのが使える。
発振がカッコいいとか言ってもそういうディレイは他にもあるしねえ・・・。
ハイファイな目的のアナログディレイなんて言い出すと大物が飛び出してくるため
音以前に最大のメリットは価格とサイズかもしれない。こういう音するやつ大体でかい。
買わなかったけど大半の人にとっては良いディレイだと思うので特別に評価したい。
BOSSのクセに若干、楽器屋での入荷率が低い気がする。

・使いやすさ 8/10
・サウンド  7/10
・機能    5/10
・価格サイズ 7/10
・信頼性   9/10

総合点・・・7.2/10
総評・・・Maxonのライバルだと思う。イケるセッティングはこちらが広いが一芸で譲る。

■Diamond memoryLane2 (中古で\3~40000 ディスコン size 82*153*50くらい?)

タップ機能つきアナログディレイ。出た当初はこれしかなかったんですよ・・・?
お高くデカく、それでいてアナログなのでたいした機能はついてない。

とってもダークで全アナログディレイの中でもかなり濃く重いディレイ音。
一番かもしれない。とにかく重い。第一比較対象はMemorymanだが
案外ローファイ系の音色でKilobyteとも領分がかぶる傾向がある。
見た目とは裏腹に一番の適性はサブカルか古い音楽を下敷きにしたジャンルかも。
明るい楽曲では出番はないと言い切れる。
タップがついてるおかげで頭だけ打ってだんだんと音が崩れていくディレイ、みたいな
アナログディレイ特有のよさをBPMに乗せてやりたい場合は一番音それらしくていいかも。
もちろんリードのエコーも重さがあるのでぐっとくる部分がある。

しかし書いてて俺のテンションがあまり上がらない。
これ良いんだけどサイズ的にも価格的にもMemorymanとの戦いになりやすいのがキツい。
確かな個性、明確な強みはあるんだけど比較するとちょっとどうしても厳しい。
Memorymanにできない機能はあるが、Memorymanのほうがずっと使えるシーンが多く
万能的なので、機能性で上回っても全く歯が立たない。
クオリティは高いんだけどメインに至らないだけの理由は確かにあった。

・使いやすさ 7/10
・サウンド  7/10
・機能    6/10
・価格サイズ 2/10
・信頼性   3/10

総合点・・・5/10
総評・・・クオリティの割に点が伸びない悲しい一台。

■Electro-hamonix Deluxe memory man(\40000~? size でかくてふざけている)

ど定番。アナログディレイの王者の一つ。
でもこれずるい。+24V駆動だしやたらでかいし。そりゃ良くもなるよ!
小さい(というほど小さくなっていないけど)最近のモデルではなく古いでかい方の話。

実際良いです。唯一無二の個性。
見た目やイメージと裏腹に1音目はクッキリ立ったデジタル並みのディレイ、
それ以後は急速に解像度が落ちていき、深く下に溜まるみたいな挙動をする。
しかもディレイ音自体がドンシャリに聞こえる。
結果的に原音と混ざって非常に美しく立体的なサウンドになる。
他のどのディレイでもこの特徴を持ったものはなく、好きなら無理を押して入れるしかない。
モジュレーションをかけてもかけなくてもこの、デジタルともアナログともつかない
まだデジタルディレイなんかなかった頃に基本を確立してしまった感じがすごくいい。
他社様にはモジュレーションをかけてBBDシミュすればメモリーマンぽいみたいな
安易なモデリングはいい加減どうにかしろよと言いたい。
この立体感を出してからそのパッチ名つけて欲しい。

ちなみに持てる役割も多く、やりやすいかどうかは別として音だけで言えば万能。
クリアディレイもローファイディレイもその気になれば兼ねられる真の意味での中間のディレイ。
アナログディレイの一種、というよりはもうメモリーマンというジャンル。
ここで評価するより、もっと大物と比較した方がいいかもしれない。
サイズ的にも電圧的にも妥当な気がする。入れるなら軸しかなく、チョイ乗りは不可能。

・使いやすさ 9/10
・サウンド  10/10
・機能    6/10
・価格サイズ 2/10
・信頼性   4/10

総合点・・・6.2/10
総評・・・一種類の音色しかでないがそれが万能。実際に使われてきた歴史の重みを感じる。

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